今回のお話はちょっと傍目には見えずらい図書館の全世代サービスについてお話しします。
一言で全世代サービスといってもわかりずらいと思うのですが、図書館に来館される様々な年代の利用者さんたちが快適に過ごせるように図書館側が考えたサービスです。(まだまだ見当違いなことや足りないことも多いと思うので、改善改善を心においています。)
また、図書館に来られない方のためのサービスも行なっています。
私は個人的に図書館に来られる方も来られない方も、「図書館と関わってよかったなー、知恵が増えたなー」なんて思ってくださる空間づくりや対応、本の提供を日々考えています。
図書館で本を無料で借りられる
図書館に一人で来られなくても、0歳から、図書館の利用券が作れます

というご質問を多くいただきます。
図書館の利用券は本を読めるようになってから作ることができるようになるのではありません。
この世に生まれた瞬間から、図書館の利用券を作る権利を持っています。
その際必要な持ち物は
保険証
これだけをお持ちくださいね。
また、お足が悪くて一人だと図書館に来られないといった方も各図書館によりますが、委任状等の提出によりご本人がご来館されなくても図書館カードを作成できる場合があります。
「図書館には行けないけど、本は借りたい!!」という方も
諦めずにお近くの図書館に聞いてみてくださいね。
ブックスタートは絵本との出会いの場です
ブックスタートとはお子さんが生まれて半年くらい経ったときの
6ヶ月検診などの際に一緒に行われることが多く、
その際に絵本をプレゼントしたり読み聞かせを行ったりすることを言います。
ブックスタートで読み聞かせをさせていただいたあとに、
お子さんのの育児サポートや働く親御さん、女性の悩みにもしっかりと対応する図書館が増えてきています。
ブックスタートでたくさんのお子さんと接する機会が多いため、その親御さんからも図書館員を頼りにしてくださる気持ちがありがたいです。
ブックスタートは、上記でも紹介しました「0歳児から図書館カードが作れます」という情報を知るきっかけになっている活動でもあります。
0歳児から図書館のカードが作成できるということをご存知の方ってそう多くありません。
はい。図書館の宣伝不足です(T ^ T)
ですから、市町村で行なっている6ヶ月検診時に図書館が連携し、読書活動の推進と絵本に触れ合う機会を増やす目的も兼ね、ブックスタートを行なっています。
ブックスタートは今では1000市区町村近い自治体が参加する一大イベントになっています。
みなさんの住まわれている自治体でも、ブックスタートをしているところは多いのではないでしょうか?
また、小学校に入学するタイミングで絵本をプレゼントする「セカンドブック」という活動を行なっている自治体もあります。
ブックスタートでプレゼントする絵本はこれと決まっているところや、指定の何冊かの絵本び中から選ぶところ、このセカンドブックのやり方もまた各自治体で様々です。
読み聞かせは子育ての救世主?「絵本の読み聞かせ」をして穏やかな子育てをしよう
アウトリーチサービス
アウトリーチサービスって聞いたことありますか?
障がいのある方や高齢の方は外に出かけることが困難です。
そんな方々のために、図書館側からアプローチしていくサービス、それをアウトリーチサービスといいます。
ひとことで言うと、市町村民の背中のかゆいところを探しかいてあげるサービスです。
- 団体貸し出し
- 自宅への宅配サービス
- 移動図書館
- 電子書籍
これらはすべてアウトリーチサービスです。
こうしたアウトリーチサービスはすべての住民が図書館にアクセスでき、知的・芸術的産物を楽しめるようにするものです。
このアウトリーチサービスの対象は本を届けるだけではありません。
例えば、図書館を会場にして
- 美術展をより親しむためのセミナー
- 目が耳が不自由な方でも楽しめるよう工夫されたバリアフリー映画の上映会
など、図書館が開催するとは思いも寄らない多岐にわたる内容で無料で開催されているものもアウトリーチサービスと呼びます。
では細かくアウトリーチサービスについて説明していきます。
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団体貸し出し
団体貸し出しは、図書館が認める団体に「団体カード」というものを作成し、そのカードで貸し出しするサービスです。
個人所有の図書館カードとの違いは下記の点です。
カードの種類 |
団体カード |
個人カード (みなさんが持っているもの) |
貸し出し期間 |
1ヶ月 |
2週間 |
貸し出し冊数 |
30〜50冊 |
10冊 |
責任の所在 |
団体の代表者 |
本人 |
視聴覚資料の貸し出し |
✖️ |
◯ |
(図書館の運営により違います。)
おおよそこのような違いが団体カードと個人カードにはあります。
図書館が認めるだなんて大それたことを言いましたが、〇〇お話し会や〇〇児童館など絵本の読み聞かせをしているお話会さんだったら大抵は団体カードを作れるはずです。
※団体カード作成のルールが厳しい図書館もあると思いますので、団体カードを利用されたい方はお近くの図書館にお尋ねくださいませ。
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自宅への本の宅配サービス
足の不自由な方や目の不自由な方
または心の病気の方、妊娠中の方が快適に本を読めるよう考えられたサービスです。
宅配の仕方としては、郵送、図書館員やボランティアさんがお届け、などがあります。
宅配サービスを実施している図書館は多くはありません。
どの図書館も人員に限りがあるからですが、実際に宅配サービスを行ったことがあり泣く泣くそのサービスを休止している図書館では、需要が大いにあったようです。
図書館に来られなくても知的欲求はなくならないもの。
どうにか宅配サービスは普及させていきたいサービスのひとつです。
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移動図書館
建物としての図書館がまだなかった時代に移動図書館というバスが走っていました。
バスに図書館の本を乗せて、公園や学校など本を必要としている人の元へ本を届けていました。
現在、図書館が必要な場所に建ち切った言われていますが、
まだまだ図書館が行き届いていない地域の住民の方もいらっしゃいます。
そんな方々にも平等に知的欲求を叶えて欲しいため、図書館は建っているけれども、運行している移動図書館はあるんです。
移動図書館と宅配サービスの違い
ちなみに、宅配サービスとの違いは、図書館の本を利用される方のニーズを図書館員が考えて移動図書館に乗せる本を運んでいるところです。
宅配サービスは個人のお宅にお届けするので、「この本がいいわ」や「こんな感じの本が欲しいわ」といったことを細かくお伺いして運びます。
移動図書館は大まかに乗せる本の分類を決めて乗せ(この棚からこの棚までは9類など)、次回の移動図書館に乗せる本もその空いた棚の分類の本をいれています。
移動図書館を開催しているときに貸し出しの傾向を見て、本の入れ替えを行います。
持っていく本 | 持っていく場所 | |
宅配サービス | 利用者の好み | ご自宅 |
移動図書館 | 図書館員の好み | 図書館が決めた場所 |
というように、宅配サービスのほうが細かい要望に応えられ、
移動図書館はご自身が図書館に行けなくても図書館で本を選ぶように読みたい本を手に取ることができることが大きな違いです。
そう考えると、移動図書館はちっちゃい図書館ですね。

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電子書籍
電子書籍もアウトリーチサービスのひとつです。
結局、紙の本と電子書籍どっちがいいの?メリット、デメリットを徹底比較!
セーフティーネットとしての役割
鎌倉図書館が以前、Twitterでつぶやいた、
もうすぐ二学期。学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。マンガもライトノベルもあるよ。一日いても誰も何も言わないよ。9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場
— 鎌倉市図書館 (@kamakura_tosyok) 2015年8月26日
所に図書館も思い出してね。
この記事に見覚えのある方もいるかと思います。
こういった、学校での居場所がない子どもたちが安らげる場所をも担いたいと考えています。
子どもたちだけでなく、ワーキングプア・高齢者の貧困等についての情報や知識を得る糸口として図書館の機能を利用できます。
これからの図書館は社会問題に立ち向かい、解決の手がかりを得る場所にもなっていくことでしょう。
高齢化社会、高齢社会そして超高齢社会と着実にご高齢の方の割合が増えていっています。
図書館に来館される方も高齢の方が増えてきています。
読書は好きなのに老眼になると本が読めない?大活字本や電子書籍、ハズキルーペも最大限に利用しよう!
乳幼児からお年寄りまで様々な方が図書館サービスを受けられるようになっています。
どうぞご利用くださいませ。
0歳児から100歳以上の高齢者まで!全世代に対応した図書館サービスを提供します まとめ
今まで図書館が重点的に行ってきた貸し出しサービスは、人口の減少とともに減り続けています。
そのサービスをする機会が減少したことにより今回上記にあげたような新しいサービスができるようになりました。
ただ、図書館に来ていただくのを待つというスタンスから、自ら発信して出向いて図書館のサービスを受けていただく。
貸し出し数が減少してしまったことは少々寂しいですが、図書館サイドが能動的にサービスを展開する。
そんな図書館としては画期的なサービスを提供させていただけるのが幸せでもあります。
みなさんにこのようなサービスを行っているということが伝われば幸いです。
最後までお読みくださりありがとうございました。