今回、お届けするのは、第155回芥川賞受賞作「コンビニ人間」です。
コミカルなお話かと思いきや、コンビニで働くコンビニ人間の悩みや葛藤が随所に盛り込まれた小説です。
みなさんもきっと毎日ではないにしろコンビニには行かれるかと思います。
そしてコンビニを利用したことのある方が多いのではないのかなーとも思っております。
そんな日常に溶け込んだ「コンビニ」という場所を舞台にしたお話「コンビニ人間」。
日頃コンビニにお世話になっている者として、読む前から親近感がわいておりました。
反面、ちょっとこの「コンビニ人間」というタイトルに物悲しさも感じています。それは、「コンビニエンス」という言葉が便利という日本語を表すからでしょうか。
「便利な人間」てちょっと寂しいですよね(^_^;)
さてさて、「コンビニ人間」、どんなお話なのでしょうか?
コンビニ人間 あらすじ
2016年07月
文藝春秋
コンビニ人間 登場人物
主人公:古倉恵子
正社員としては就職をせず、大学時代から続けているコンビニでアルバイトをしている36歳独身女性。
恵子はいわゆる普通といわれる環境で、とりとめもなく普通の両親に育てられますが、周囲からは奇妙と呼ばれる子どもでした。
なぜ周囲に奇妙と思われていたかというと、恵子は、非常に合理的な考えを持っており、恵子から感情と呼べるものが家族には一切、感じられなかったからです。
恵子は、両親や妹の麻美が普通ではない自分を見て悲しむ姿を見たくなかったため、変に思われないよう、必要以上に喋らないという処世術を身につけます。
しかしそれも長続きはしないんですけどね。。
そんな恵子を中心としてお話は進んでいきます。
コンビニのオープニングスタッフとして働く恵子
恵子が大学1年生の時、スマイルマート日色町駅前店のオープニングスタッフとして働き始めます。
店の売上をあげてお客様の役に立つという明確な目的と徹底したマニュアルがある「コンビニ店員」という仕事は、普通になりたい恵子にとってはまさに天職です。
それはまさに、「コンビニ人間」が生まれた瞬間でした。
そして、彼女はなんとそのコンビニで36歳になる現在もずっと働き続け、今年で19年目を迎えました。
独身で恋愛経験もなく、趣味もまったくありません。
ただコンビニで働くためだけに生き、人生からコンビニ以外の要素を排除する、まさしく恵子は「コンビニ人間」になったのです。
家族はその変化を喜び、恵子は家族の喜ぶ『普通』というものに向かって前進し始めます。
婚活目的の新アルバイト店員 白羽
ある日、恵子の働くコンビニに、態度が大きく、周囲を見下す癖のある、白羽という名前の新しい男性アルバイトが入ってきます。
新しい登場人物が出てきましたね。
白羽がコンビニでアルバイトをする理由は、なんと婚活でした。
世間に、仕事や結婚をしているかどうかで人間性を決めつけられることにうんざりした白羽は、簡単に結婚相手を同僚、もしくはお客様の中から見つけようとしていました。
しかし、不満だけを垂れ流し、婚活に関して、何の収穫を得ることも出来ません。
そして案の定、多くの問題行動が発覚し、退職することになってしまいます。
いつもの静けさを取り戻したコンビニですが、恵子は白羽との接触により、ますます周囲との不和に気が付き、社会に馴染めない白羽と同様、異物とみなされようとしていました。
さて、これから恵子と白羽はどうなるのでしょうか?
あとは読んでみてこの感情をお楽しみくださいませ。
著者もコンビニ人間!?村田沙耶香とは
村田 沙耶香(むらた さやか)
1979年8月14日生まれ
千葉県印西市出身。
二松學舍大学付属沼南高等学校(現:二松學舍大学付属柏高等学校)、玉川大学文学部芸術科芸術文化コースを卒業しています。
作家仲間の朝井リョウ、加藤千恵、西加奈子からは、「クレイジー沙耶香」と呼ばれています!(◎_◎;)。
村田沙耶香さんいままでの受賞歴
「授乳」
2003年
第46回 群像新人文学賞優秀賞
受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を少しだけ持つ父。その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。「――ねえ、ゲームしようよ」。
「ギンイロノウタ」
極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキが汚され、有里が憎しみの化け物と化すまでは……。
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2009年
第22回 三島由紀夫賞候補
第31回 野間文芸新人賞
「しろいろの街の、その骨の体温の」
2015年07月07日
クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するがーー
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第26回三島由紀夫賞
第1回フラウ文芸大賞
「コンビニ人間」
「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。
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2016年
第155回 芥川賞受賞!!
第155回芥川賞受賞作「コンビニ人間」(2016)村田沙耶香著あらすじ。コンビニで働く奇妙なコンビニ人間の葛藤のお話です。 まとめ
「コンビニ人間」いかがだったでしょうか?
周囲に「普通」を望まれ、「普通」という目標に向かう恵子は一見幸せそうに見えますが、本当のところどうなのでしょうか?
「普通」を望まれすぎて、自分の欲を忘れてしまったのかもしれません。
私も変わった子だ変わった子だと、言われ続け、
変わっている子だということを隠して、いかに「普通」に近づけるか試行錯誤してきました。
だからこそ、わたしは恵子にはもっと自由に生きてもらいたいとも思ってしまいました。
みなさまはどう考えたか、教えていただけたら嬉しいです。
ではまた
以上「コンビニ人間」あらすじでした。
お読みくださりありがとうございました。