平成最後の直木賞受賞者
真藤順丈著 宝島
一体どんな内容なのでしょうか?
英雄が消えた夜。彼が手にしていたという「予定にない戦果」とは何か。故郷と基地。沖縄(ウチナー)とアメリカ。現在と過去。こちら側とあちら側l。境界線を越え、闘い、本土復帰に向けた大きな流れに翻弄されながら生き抜こうともがく三人がようやくたどり着いた、英雄が命を懸けた「秘密」とは。
真藤順丈著『宝島』あらすじ
この作品は第二次世界大戦後の沖縄を舞台に1952年から1972年の本土返還までの20年に渡る、若者たちの青春を描いた小説です。
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まず、あらすじを説明する前に、用語の解説をさせてください。
「戦果(せんか)アギヤー」
戦果アギヤーとは、アメリカ統治下時代の沖縄県で発生した略奪行為のことを指し、「戦果をあげる者」という意味です。
元来は、沖縄戦の時に、敵国であるアメリカ軍陣地から食料等を奪取することを指していましたが、戦後になり、生活基盤を失った多くの住民はアメリカ軍からの配給に頼っていました。
そんな中、戦時中の名残でアメリカ軍の倉庫から物資を略奪することが横行します。
アメリカ軍は倉庫の警備を強化しますが、当然、民警察は積極的に取締りません。
そうなると、略奪はますます大胆になり、増加の一途を辿りました。
これは、そんな英雄たちのお話です。
この宝島を読むまで、当時の沖縄にそんな英雄が存在したことを恥ずかしながら知りませんでした。
現実に起こっていた話ですし、沖縄にも何度か行っているにも関わらず、、
そして、岡本太郎さん著書「岡本太郎の沖縄」で衝撃を受けました。
そう簡単に、大変だったね。かわいそう。ではすまされない。感想など言える立場にはない。そう感じてしまいました。
『宝島』あらすじ 続き
米軍基地に忍び込み、略奪した物品を住民に分け与える戦果アギヤー。
彼らが奪うのは食料、医療品だけではなく、盗んだ建築資材で小学校が建つようなこともありました。
戦果アギヤーのリーダーである20歳の青年「オンちゃん」は住民から特別視されていました。
そんなオンちゃんがある夏、親友の「グスク」、弟の「レイ」とともにキャプテン・カデナ侵入への進入計画を立てます。
侵入したまではよかったのですが、その帰り道、米兵に見つかり銃弾を浴びせられます。
命からがら逃げきった「グスク」、「レイ」、しかし、「オンちゃん」は行方不明になってしまいます。
恋人の「ヤマコ」の家にも病院にも現れません。
オンちゃんは、正真正銘キャプテン・カデナの侵入の夜を最後に行方をくらましてしまったのです。
オンちゃんの親友である「グスク」、弟の「レイ」、恋人の「ヤマコ」はオンちゃんのことを片時も忘れることなく「オンちゃんの志」を受け継ぎ、警官や教師、テロリストとなって、それぞれのやり方で沖縄の人々を守り続けていきます。
消えてしまった英雄の行方を探すミステリー要素もあり、3人の若者のたくましく激動の時代が描かれてた作品となっています。
タイトル「宝島」の由来
「宝島」のタイトルから、ロバート・ルイス・スティーブンソンの子供向け海洋冒険小説をイメージしてしまう方も多いのではないでしょうか?
古典作品と同じタイトルですが、最初から「宝島」というタイトルではなく、作品が完成した後に担当編集者鶴の一声で、決定しました。
真藤さん曰く、シンプルさと力強さが気に入っている、「沖縄の宝とは何か、物語の主題に触れている題名でそのものズバリなのだ」、と言われていたそうです。
「宝島」著者の真藤順丈さんの受賞作一覧
東京品川区出身 1977年11月3日生まれ
2008年デビュー
地図男
「地図男」で第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞
庵堂三兄弟の聖職
「庵堂三兄弟の聖職」で第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まるが、かつてない難しい依頼が舞い込んで!?
東京ヴァンパイア・ファイナンス
「東京ヴァンパイア・ファイナンス」で第15回電撃小説大賞銀賞受賞
真夜中に出没し、超低金利で高額融資をする“090金融”ヴァンパイア・ファイナンスを営む“万城小夜”。今夜も獲物=融資客を求めて蠢く。送りオオカミをめざす“ひのけん”。性転換手術をしようとしている“美佐季”。振り込め詐欺グループに復讐を目論む“「やえざくらの会」の老人たち”。ドラッグ・デザイナーを辞めたがっている“しずか”。都会のアンダーグラウンドで息する彼らは小夜に出会い、融資をうけるかわりに自身の問題に首を突っ込まれるが…。
RANK
「RANK」で第3回ポプラ社小説大賞特別賞受賞
2018年
『宝島』で第9回山田風太郎賞受賞
2019年
『宝島』で第160回直木三十五賞受賞
この、直木賞受賞作「宝島」は真藤順丈さんが情熱の全てを注いで書いた作品で、完成までに7年を費やしました。
そんな真藤順丈さんの宝島以外の小説を読んでみるのも良いですね。
平成最後の直木賞2019『宝島』真藤順丈(しんどう じゅんじょう)著あらすじは? まとめ
宝島がご出版されるまでに7年の歳月がかかっていたことも踏まえて、宝島を読むといかにみなさまに伝えたかったかがわかります。
オンちゃんの行方も気になりますが、真藤順丈さんの他の作品もきになりますね!
最後までお読みくださりありがとうございました。