今日のあらすじは、羽田圭介著「スクラップ・アンド・ビルド」です。
めでたく芥川賞に輝いたのでスクラップ・アンド・ビルドのあらすじをご紹介していきます。
第153回芥川賞受賞作 羽田圭介 「スクラップ・アンド・ビルド」(2015)文藝春秋
「じいちゃんなんて早う死んだらよか」。ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のため面接に臨む日々。人生を再構築中の青年は、祖父との共生を通して次第に変化してゆくー。瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、老人の狡猾さも描き切った作品
いまや、バスの旅やバラエティ番組で人気者となっている羽田さん。
この作品「スクラップアンド・ビルド」によって、一気にテレビへの露出が増えたように思います。
芥川賞を取ることによって、作品を知る機会が増えるのはもちろんですが、
作者本人を知る機会が増えることも芥川賞の恩恵でしょうね!!
「スクラップ・アンド・ビルド」は超高齢社会と高齢社会という現代の日本の避けては通れない問題をちょっとコミカルに仕上げた作品です。
第153回芥川賞受賞当時は又吉直樹著「火花」と同時受賞でした。
「火花」 又吉直樹著
スクラップアンドビルド 登場人物
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主人公:田中健斗
5年間勤めたカーディーラーを辞め、無職になって7か月の28歳の青年。
単発のアルバイトをして、貯金しながら行政書士の勉強をし、たまに就職活動を行い無為な生活を送っています。
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健斗の87歳になる要介護の祖父
年齢から見たらほとんど健康体といってもいい祖父だが、実際に服毒自殺を試みたことも。。
口癖は「もう死んだほうがよか」。
スクラップアンドビルド あらすじ
健斗は自分の母親と、親戚をたらい回しにされて健斗たちの家にやってきた母方の祖父との3人暮らしです。
祖父は常に卑屈で死ぬことを祈っていますが、母親と健斗はその様子につかれはてていました。
しかし、ある時健斗は気付いてしまいます。
今まで聞き流していた祖父の言葉こそが、祖父の魂の叫びなのではないのかということに。
一度考えだすと、これまでの健斗の祖父に対するひとつひとつの接し方が非常に自己中心的だったのではないかと思え、
「死にたい」という祖父の言葉を言葉通りにきちんと受け止めるべきではないのか、と考えるようになります。
そこで健斗の目指したのもの。
それは、苦痛や恐怖心さえない穏やかな死。
究極の自発的な尊厳死でした。
「苦痛や恐怖心さえない穏やかな死」と「究極の自発的な尊厳死」を実現するべく、
健斗は介護福祉業界で働く友人大輔にアドバイスを求めました。
大輔の答えは、祖父の身の回りのことは何でもやってあげて、極力祖父を動かさず、生きる気力を失わせるというものでした。
そのアドバイスを中途半端にこなせば、他に介護する母や健斗が余計に面倒になるが、それでもやるのかと大輔に忠告され、それでも健斗は祖父に尊厳死を与えるために、そうすることを決意します。
決意してからというもの、健斗は祖父が社会復帰するための様々な機会をことあるごとに奪い、体の機能が少しずつ衰えていくのを待ちます。
その一方で健斗は、衰えていく祖父を見て自分自身がまだまだ若く、恵まれた体を持っていることに気付き、筋トレやランニングを日課にし、己を高めることによって、仕事を辞めてからの無気力な日々が嘘のように生きる喜びをかみしめ始めます。
そんなある日、予定が変更になって早く帰宅した健斗が見たものは、俊敏に動き、いつもなら自分で出来ないと弱音を吐く動作を軽々とやってのける祖父の姿でした。
スクラップアンドビルド 結末は
さてさて続きが気になるところですが、この先は是非ご自身でお読みください。
本当の尊厳とは?
自分が進む先とは?
色々考えさせられる作品になっております。
芥川賞に個人的に多いと思われる、なんの話?感や言いたいことは何?といった不完全燃焼感は一切なく読める小説になっています。
主人公健斗の成長もこのものがたりの面白さの一因になっています。
タイトルのスクラップアンドビルドはSEAMOのアルバムのタイトルにもなっています
スクラップアンドビルドとは、
辞書によると、
老朽化して非効率な工場設備や行政機構を廃棄・廃止して、新しい生産施設・行政機構におきかえることによって、生産設備・行政機構の集中化、効率化などを実現すること。
壊して新しいものと取り替えて、より良くするという主に工場設備や小売業で使われる専門用語です。
歌手のSEAMOさんも同じタイトルのアルバムを出されています
この「スクラップアンドビルド」というワード自体、
人様の心を惹きつけるんですね
【スクラップアンド・ビルド】は2016年12月17日(土)NHKで土曜ドラマにもなりました
スクラップ・アンド・ビルドのドラマでのキャストさんをご紹介します。
主演:柄本佑
たまたま、リアルタイムでこのドラマを見ていました。
見るつもりで見始めたのではなかったので、お風呂上がりで体が冷えてしまうのにも構わず全部見てしまった記憶があります。
それくらい魅了されました。
芥川賞を取られたことは知っていましたが、こんなに面白いとは!と早速本を読まなくちゃと思い取り寄せました。
ですが今は、電子書籍版が発売していましたので、ポチりして届くのを待つ必要もなくなっていました。
便利な世の中ですね!!
結局、紙の本と電子書籍どっちがいいの?メリット、デメリットを徹底比較!
ドラマでも小説でも少し姨捨山の雰囲気があり、スッキリ!元気になったという作品ではありませんが、一読の価値はあります!!
ドラマはこちらで見られます!!
第153回芥川賞受賞作「スクラップ・アンド・ビルド」あらすじ羽田圭介(2015)火花と同時受賞した話題作とその他のスクラップアンドビルドも
バラエティー要素の強く出ている作者の羽田圭介さんですが、小説はやはりとても面白いです。
当時は又吉さんとの同時受賞で鳴りを潜めている印象がありましたが、読んでみると本当に面白かったです。
本当に相手を想うとは、について深く考えさせられる一冊でした。
最後までお読みくださりありがとうございました