また今年も芥川龍之介賞・直木賞の候補作が発表される時期がやってまいりました。
芥川龍之介賞は短縮され芥川賞、直木五十六賞は直木賞と呼ばれるのが一般的です。
芥川賞直木賞同受賞作品の発表は2021年1月20日(水)に行われる予定です。
芥川賞と直木賞の違いは主に3つ。芥川賞と直木賞の違いって一体なに?作ったのは誰?できたのはいつ?
芥川賞候補作品一覧
芥川賞は、「無名あるいは新人作家による発表済みの短編・中編作品」が対象とされています。
「短編・中編作品」とはおおむね、”原稿用紙100枚から200枚程度”の作品を芥川賞候補作では定義しています。
推し、燃ゆ
文藝 秋季号
推し、燃ゆ 単行本
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。
宇佐見りん(うさみ りん)
第33回三島由紀夫賞受賞、第42回野間文芸新人賞候補。
母影(おもかげ)
新潮 12月号
単行本の発売は2021年01月29日です。
小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、
母親の勤めるマッサージ店の片隅で息を潜めている。
お客さんの「こわれたところを直している」お母さんは、
日に日に苦しそうになっていく。
カーテンの向こうの母親が見えない。
少女は願う。
「もうこれ以上お母さんの変がどこにも行かないように」。
尾崎世界観(おざき せかいかん)
1984年生まれ。2001年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。
初ノミネート
16年、初の小説『祐介』を書き下ろしで刊行。
『祐介』
2016年文藝春秋
『苦汁100%』
2017年文藝春秋刊。
『苦汁200%』
18年文藝春秋刊。
『犬も食わない』
18年新潮社刊(千早茜との共著)。
『泣きたくなるほど嬉しい日々に』
19年KADOKAWA刊。
『身のある話と、歯に詰まるワタシ』
20年朝日新聞出版刊(対談集)。
コンジュジ
すばる 11月号
二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。
小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。
寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日未明、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。
その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって……
「コンジュジ」は2020年に第44回すばる文学賞を受賞しています。
芥川賞とのW受賞もかかっている作品ですね。
木崎みつ子(きざき みつこ)
1990年生まれ。
初ノミネート
小隊
文學界 9月号
2021年02月11日発売予定です。
樺太・国後半島から北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。そして、ついに戦端が開かれた――。
砂川文次(すなかわ ぶんじ)
1990年生まれ。神奈川大学卒。元自衛官。地方公務員。
2年振り2回目の候補作入り
「市街戦」
2016年文學界5月号。
2016年「市街戦」で第121回文學界新人賞を受賞。
「戦場のレビヤタン」
18年文學界12月号
第160回芥川龍之介賞候補
「臆病な都市」
20年群像4月号
鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。
その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。
旅する練習
群像 12月号
単行本の発売予定日は2021年01月14日です。
乗代雄介(のりしろ ゆうすけ)
1986年生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒
1年ぶり 2度目の候補作入り
「十七八より」
2015年群像6月号
「本物の読書家」
16年群像9月号
第40回野間文芸新人賞受賞
「未熟な同感者」
17年群像7月号(『本物の読書家』に併録)
「生き方の問題」
18年群像6月号
「最高の任務」
19年群像12月号
第162回芥川賞候補作
『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』
現代文学の新星、乗代雄介がデビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログを著者自選・全面改稿のうえ書籍化。
芥川賞・直木賞の選考委員はだれ
現在の芥川賞の選考委員は、
- 小川洋子氏
- 奥泉光氏
- 川上弘美氏
- 島田雅彦氏
- 堀江敏幸氏
- 山田詠美氏
- 吉田修一氏
- 松浦寿輝氏
- 平野啓一郎氏
の総勢9名です。
(2020年1月に宮本輝氏が退任、代わって3月に平野氏が就任)
上記9人の選考委員は財団法人日本文学振興会が選任し、討議によって受賞作(1作または2作)を決定しています。
上記芥川賞候補作品は、選考会の約1か月前(6月中旬と12月中旬)に、文藝春秋社の社員20名による討議によって5、6作品にまで絞り込まれているそうです。
その絞り込まれた5~6作の候補作品(ノミネート)が選考の対象になります。
絞り込まれた5、6作品の中から選考委員が芥川賞受賞作品を選ぶんですね。
芥川賞は、年に2回発表されており、上半期に公開された作品は7月中頃に、下半期の作品は翌年の1月中頃に発表されます。
今回の発表は下半期の作品になります。
ただ、受賞に値する作品が無かった場合は、”該当なし”とされる回もあります。
直木賞候補作一覧
直木賞受賞候補作品は”無名・新進・中堅作家が対象”とされています。
第164回直木賞(2020年下半期)にノミネートされたのは、6作品です。
この直木賞受賞候補作品の候補者全員が初のノミネートで、直木賞候補作が全て初候補者で占められるのは、実に25年ぶりのことです。
汚れた手をそこで拭かない
文藝春秋
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
ミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。です。
芦沢央(あしざわ よう)
1984年生まれ、東京都葛飾区出身。千葉大学文学部史学科卒。
八月の銀の雪
新潮社
伊与原新(いよはら しん)
1972年生まれ。神戸大学理学部卒。
オルタネート
新潮社
加藤シゲアキ(かとう しげあき)
1987年生まれ。NEWSのメンバーとして活動中。
心(うら)淋し川
集英社
西條奈加(さいじょう なか)
1964年生まれ。東京英語専門学校卒。
インビジブル
文藝春秋
坂上泉(さかがみ いずみ)
1990年生まれ。東京大学文学部日本史学研究室卒。
アンダードッグス
KADOKAWA
1997年、中国返還前夜の香港に隠された国家機密を奪取せよ!
世界の諜報機関を敵に回し、“負け犬たち”の知略を駆使した反撃が始まる!
長浦京(ながうら きょう)
1967年生まれ。法政大学経営学部卒。
直木賞の選考委員は誰?
現在の直木賞の選考委員は、
- 浅田次郎氏
- 伊集院静氏
- 北方謙三氏
- 桐野夏生氏
- 高村薫氏
- 林真理子氏
- 宮部みゆき氏
- 角田光代氏
- 三浦しをん氏
の総勢9名です。
(2020年1月に宮城谷昌光氏が退任、代わって3月に三浦しをん氏が就任)。
ちなみに、この直木賞選考委員9名のうち8名は直木賞を受賞したことのある作家さんです。残念ながら、北方健三氏だけは3回候補に挙がったものの受賞にはなりませんでした。
第164回芥川龍之介賞・直木賞候補作発表!!2020年下半期の芥川賞・直木賞は誰が受賞するのか まとめ
芥川賞、直木賞ともにノミネート作品が発表されました。
さて、今回は一体どの作品が映えある賞を受賞するのか、楽しみですね!!
最後までお読みくださりありがとうございました。